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川をのぼるサケ

アイヌ魚辞典

アイヌ魚辞典 サケ、ニシン、カジカ、貝、昆布 39種

アイヌの人々にとっていちばん大切な魚はサケで、カムイチェㇷ゚(神の魚)と呼びました。川ではサケとマス、海では季節ごとにイワシ、ニシン、カレイ、ホッケ、タラ、カジカ。磯では貝と海藻。沖へは出ず、沿岸であらゆる魚を適度にとる「間引き」の漁でした。

写真はイメージです
川のサケ
写真はイメージです

サケは捨てるところがありませんでした

サケは秋に川をのぼり、産卵します。卵は約2か月でかえって海へ行き、2〜8年回遊して戻ってきます。だから旬は秋から初冬です。季節外れにとれたものをトキシラズ、産卵後のものをホッチャレと呼びます。

身のほか、すじこ(チポㇿ)、白子、めふん(腎臓)、氷頭(頭の軟骨)、えら、ひれ、皮まで使い、余すところがありません。十勝の資料は、すじこを調味料のように使い、皮は靴にしたと書いています。たたき(チタタㇷ゚)は頭の軟骨とえらと中骨とひれを細かくたたき、白子を加えます。目玉はつぶさないようにくり抜き、たたきには入れずそのまま食べました。

とれ始めのサケは脂が乗っていて保存に向かないので、10〜11月に脂が抜けてから干し魚を作ります。この時期は1日の多くが干し魚の加工にかかったと本に書かれています。マスは夏の大切な食料ですが、脂が多く越冬用にはなりませんでした。

出典: 『アイヌのごはん 自然の恵み』魚と陸獣図鑑・たたき、帯広開発建設部『時をこえて十勝の川を旅しよう!』p.122〜125

魚・貝・海藻・海の獣の一覧

名前、アイヌ語、時期、部位、料理の言葉で探せます。

川の魚

海の魚

貝・タコ・ホヤ

海藻

海の獣

生で食べる前に 寄生虫の決まり

チタタㇷ゚とルイペは生で食べる料理です。サケやマスにはアニサキスや日本海裂頭条虫がいることがあり、調理で使う程度の塩、酢、しょうゆ、わさびでは死にません。確実な予防は−20℃で24時間以上の冷凍か、70℃以上の加熱です。家庭の冷凍庫は−20℃に届かないことがあるので、生の魚を家で凍らせて作らず、冷凍済みの刺身用を買います。内臓は生で食べません。

本の料理には生食の注意が書かれていないものがあります。このサイトでは、生で食べる品には冷凍の基準を添え、火を通す形(たたきを団子にして汁に落とす)を一緒に載せています。

夕暮れの川辺
写真はイメージです

昆布はだしを取るだけでなく、具として食べました

ほとんどの汁は昆布を水から入れて始まります。アイヌの料理では、昆布をやわらかくなるまで火を通し、取り出して細く切って鍋に戻し、具として食べてしまうのがふつうです。だから火の通りやすい、身の薄い昆布(ホソメコンブ、早煮昆布)を使い、身の厚いだし昆布は使いません。

たたきには火であぶって砕いた昆布を、団子のたれには焼くか素揚げして粉にした昆布を使います。静内と噴火湾の沿岸では、4月末に海岸で拾う穴のあいた昆布オプシプシ(正体はスジメ)を使います。一般にアナメと呼ばれる昆布とは別の種類です。

フノリは白子汁と粥に、乾燥のギンナンソウは味噌仕立ての汁に、色が赤から緑に変わったらすぐ火を止めて使います。

出典: 『アイヌのごはん 自然の恵み』汁物・団子・「アイヌ料理」とは何か p.111

料理の一覧へチロットへの行き方

出典

  1. 『アイヌのごはん 自然の恵み』藤村久和 監修、デーリィマン社、2019年 魚と陸獣図鑑・汁物・たたき・煮物・焼き物・一品料理
  2. 帯広開発建設部『時をこえて十勝の川を旅しよう!』「サケを使った料理」p.122〜125
  3. アイヌ民族文化財団「川の魚の料理 平取地方」「海の幸の料理 浦河地方」「海の幸の料理 白糠地方」
  4. 厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」
  5. 食品安全委員会 文献調査報告 26. 裂頭条虫