アイヌ山菜辞典
アイヌ山菜辞典 76種の名前と採る時期と使い方
アイヌの料理は山菜の料理です。汁や粥で主役の魚を引き立て、ときには主役にもなります。春の葉と茎、デンプンを取る根と球根、木の実と果実、きのこ、お茶にする草木、畑の作物の6つに分け、名前か時期か使い方の言葉で探せます。札の中の「この材料の料理」から、料理の一覧へ飛べます。

この辞典の読み方 アイヌ語の名前は土地で変わります
見出しのアイヌ語は、本が『分類アイヌ語辞典』(知里真志保 編)などを参考に、採録された土地の多い名前を選んだものです。土地によって別の名前があり、括弧の中にいくつか添えています。ローマ字は目安です。
採る時期と使う部分は、本の山菜図鑑と下ごしらえの欄、公的な資料の記述をまとめました。本に書かれていない項目は空けてあります。
ギョウジャニンニク(プクサ)は、本が「アイヌの料理でいちばん大切な山菜」と書くものです。葉が2枚になる採りごろまで6〜7年かかり、乱獲で野外では減っています。葉が1枚のものは採らない、根は残す、毎年同じ場所で採らない、という作法が求められています。
出典: 『アイヌのごはん 自然の恵み』山菜図鑑(脚注に『日本の食生活全集 48 聞き書 アイヌの食事』、『アイヌと自然デジタル図鑑』、『アイヌ民族の有用植物』を参考資料として記載)
山菜・木の実・作物の一覧
名前、アイヌ語、時期、使い方のどれでも探せます。札の番号付きの項目は本の図鑑の順ではなく、使う季節の順です。
春の葉と茎
- プクサ(キト)pukusa / kitoギョウジャニンニク Allium victorialis subsp. platyphyllum
- 採る時期
- 春(葉が2枚になる採りごろまで6〜7年かかる)。夏に伸びた葉は干して保存する
- 使う部分
- 葉と茎
- 下ごしらえ
- さっとゆでるか、刻んで生のまま。炒めるときは切らずに使う
- 保存
- 干す(戻し汁はご飯を炊く水に使う)。白糠では冷凍して一年じゅう使う
- 使い方
- オハウ(汁)の仕上げ、ラタㇱケㇷ゚(和えもの)、たたきや刺身の薬味、ご飯、塩煮。アイヌの料理でいちばん大切な山菜と説明されます
- 注意
- イヌサフラン、スズラン、バイケイソウと葉が似ていて、北海道では毎年のように誤食の事故があります。自分で採らず、店で売られているものを使います。採るときの作法は、葉が1枚のものは採らない、根は残す、毎年同じ場所で採らない
- 地域
- 北海道の各地。十勝の冊子も「プクサ」として紹介
この材料の料理 オハウ(汁物)の考え方(具のたっぷり入った汁。昔の主食)、ニシン汁(切り目を入れたニシンと根菜の汁)、ニシンの白子汁(血抜きした白子とフノリの汁。フキノトウを散らす形も)、イワシつみれ汁(骨ごとたたいたイワシの団子を落とした汁)、フノリ粥(フノリとギョウジャニンニクの粥)、エゾイガイ粥(湯がいた貝の身を粥に入れる)、アサリ粥(砂出ししたアサリを殻ごと入れる粥)、ササノコ粥(ササノコを斜め切りにして粥に)、ギョウジャニンニクご飯(干したものは炊き込み、生は混ぜる)、カシラコンブの塩煮・フキの塩煮・ギョウジャニンニクの塩煮(昆布の根元、フキ、ギョウジャニンニクを水と昆布で煮る)、エゾシカの紅茶煮(紅茶で煮てしょうゆ・酒・みりん・酢で味つけ)、焼き肉(エゾシカ・心臓と横隔膜)(鍋で肉を焼き、残った油でシシトウやギョウジャニンニクを焼く)、タコとギョウジャニンニクの塩酢和え(ゆでだこと、さっとゆでたギョウジャニンニクを酢と塩で)、イタドリのおひたしとたたき(若い茎をゆでて皮をむき、刻むかたたく)、肉の油炒め(エゾシカの心臓とニリンソウ・クジラとギョウジャニンニク・エゾシカの横隔膜とアサツキ)(強火で肉を炒め、山菜を加えて塩)、山菜の油炒め(ギョウジャニンニク・アサツキとハンゴンソウ・イタドリの若芽)(洗って水を切った山菜を強火で炒め、塩かしょうゆ)、エゾシカ心臓のフィペ(心臓を薄く切り、ギョウジャニンニクを和える)、チタタㇷ゚(たたき)の考え方(新しい魚を丸ごとたたく。たたくのは男の仕事)、ニシンのチタタㇷ゚(頭・中骨・あご・えらをたたき、ギョウジャニンニクと塩)、タラのそぼろ・カジカのそぼろ(ゆでてほぐした魚を弱火で炒る)、保存食の考え方(干し魚・干し肉・とば・干し山菜)(1年の半分が雪の北海道で、越冬の食料は保存食だった)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑、帯広開発建設部『時をこえて十勝の川を旅しよう!』p.121、厚生労働省「有毒植物による食中毒に注意しましょう」 - プクサキナ(オハウキナ)pukusakinaニリンソウ(イッポンナ) Anemone flaccida
- 採る時期
- 春先。花が開く5月ごろに採ると見分けやすい
- 使う部分
- 若い葉と茎。花がついたままゆでる
- 下ごしらえ
- 1〜2分ゆでて、10〜15分水にさらす
- 保存
- 天日で干す。平取では干したニリンソウを鹿の汁に入れる
- 使い方
- おひたし、和えもの、オハウの具、鹿肉の汁、炒め物(鹿の心臓と)
- 注意
- 花が開く前は猛毒のトリカブトと葉がよく似ています。自分で採ったものは使いません
- 地域
- 北海道の各地(平取の資料に干したものの使い方)
この材料の料理 キナオハウ(キナルル)(干したマイタケと干した山菜の汁)、山菜の混ぜご飯(クレソン・アサツキ・ニリンソウ・セリ・フキ・ゴボウ・ササノコ)(30秒ゆでて刻んだ山菜を混ぜる)、山菜のおひたし(セリ・アサツキ・クレソン・ニリンソウ・コゴミ・エゾノリュウキンカ・タラノメ)(山菜ごとにゆで時間と水にさらす時間が違う)、肉の油炒め(エゾシカの心臓とニリンソウ・クジラとギョウジャニンニク・エゾシカの横隔膜とアサツキ)(強火で肉を炒め、山菜を加えて塩)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・おひたし、アイヌ民族文化財団「山の幸の料理 平取地方」p.21 - ソルマ(ソロマ)sorumaコゴミ(クサソテツ) Matteuccia struthiopteris
- 採る時期
- 春。若芽が開く前
- 使う部分
- 若芽。胞子は「スクスク」と呼び、乾かして炊き込みご飯の色づけに使う
- 下ごしらえ
- 2〜3分ゆでて、すぐ水で冷ます。アクが少ない
- 保存
- 干す(平取の鹿の汁に干したコゴミ)
- 使い方
- おひたし、混ぜご飯、汁。シダの若芽の総称がソルマで、ゼンマイもふくむ(ゼンマイはアクが多い)
- 注意
- スクスクは売られていないので、くわしい人と採りに行くか、分けてもらうしかないと本に書かれています
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 キナオハウ(キナルル)(干したマイタケと干した山菜の汁)、スクスクの炊き込みご飯(シダの胞子で色をつけた炊き込みご飯)、山菜のおひたし(セリ・アサツキ・クレソン・ニリンソウ・コゴミ・エゾノリュウキンカ・タラノメ)(山菜ごとにゆで時間と水にさらす時間が違う)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・ご飯 - マカヨmakayoフキノトウ Petasites japonicus(花茎)
- 採る時期
- 早春
- 使う部分
- 花茎。雌雄があり、ふつう雄株を使う
- 下ごしらえ
- アク抜きはいらない。刻むと黒ずむので、盛りつける直前に刻む
- 使い方
- 焼いて食べる、オハウの具、白子汁やスクスクの炊き込みご飯に散らす
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 ニシンの白子汁(血抜きした白子とフノリの汁。フキノトウを散らす形も)、スクスクの炊き込みご飯(シダの胞子で色をつけた炊き込みご飯)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・汁物 - コロコニ(ルウェキナ)korkoniフキ(アキタブキ) Petasites japonicus
- 採る時期
- 初夏。7〜8月に採ったものは硬いので薄く斜めに切る
- 使う部分
- 葉柄(茎)と葉を分けて使う
- 下ごしらえ
- 葉は30秒ゆでる作業を湯を替えて3〜4回。葉柄は7〜8分ゆでて皮をむき、水につけてアクを抜く。冷蔵で4〜5日もつ
- 保存
- ゆでて干す
- 使い方
- 塩煮、粥、混ぜご飯、オハウの具、魚の塩煮の付け合わせ。市販の水煮で代用できる
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 キナオハウ(キナルル)(干したマイタケと干した山菜の汁)、フキとワラビの粥(下ごしらえしたフキとワラビの粥)、山菜の混ぜご飯(クレソン・アサツキ・ニリンソウ・セリ・フキ・ゴボウ・ササノコ)(30秒ゆでて刻んだ山菜を混ぜる)、カシラコンブの塩煮・フキの塩煮・ギョウジャニンニクの塩煮(昆布の根元、フキ、ギョウジャニンニクを水と昆布で煮る)、保存食の考え方(干し魚・干し肉・とば・干し山菜)(1年の半分が雪の北海道で、越冬の食料は保存食だった)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・下ごしらえの欄 - トゥワ(ワルンペ)tuwaワラビ Pteridium aquilinum
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 若芽。塊根からはデンプンを取り、粥に使った
- 下ごしらえ
- 灰か重曹をまぶし(切り口にすり込む)、熱湯をひたるまで注いで半日おく。冷蔵で1週間。太く紫色の茎のほうがアクが少ない
- 保存
- 干す
- 使い方
- 汁(鹿肉汁)、粥(フキと)
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 ユㇰオハウ(エゾシカ肉汁)(薄切りの鹿肉と根菜、きのこ、ワラビの汁)、フキとワラビの粥(下ごしらえしたフキとワラビの粥)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・下ごしらえの欄 - イコクトゥ(クッタラ)ikokutuオオイタドリ Fallopia sachalinensis
- 採る時期
- 春。若芽と若い茎
- 使う部分
- 若芽と若い茎(茎は皮をむく)。やわらかい所は生でも食べる
- 下ごしらえ
- さっとゆでて、すぐ水で冷ます
- 使い方
- 塩煮、おひたし、たたき(ギョウジャニンニクやメカブと一緒にたたく)、油炒め、サラダ風のラタㇱケㇷ゚の果実の代わり。枯れた茎は海水を運ぶ筒にした
- 地域
- 北海道の各地(本州のイタドリより大きく3mになる)
この材料の料理 野菜の塩煮(オニシモツケ・ヨブスマソウ・イタドリ)(山菜を水で煮て塩、水につけて皮をむく)、イタドリのおひたしとたたき(若い茎をゆでて皮をむき、刻むかたたく)、山菜の油炒め(ギョウジャニンニク・アサツキとハンゴンソウ・イタドリの若芽)(洗って水を切った山菜を強火で炒め、塩かしょうゆ)、塩の工夫(海水・灰の上澄み・枯れ茎)(昔は海水をそのまま、山では灰の上澄み)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・おひたし - ワッカクトゥwakkakutuヨブスマソウ(ボウナ) Parasenecio hastatus
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 若い茎
- 下ごしらえ
- ゆでる
- 使い方
- 塩煮
- 地域
- 北海道の山林
この材料の料理 野菜の塩煮(オニシモツケ・ヨブスマソウ・イタドリ)(山菜を水で煮て塩、水につけて皮をむく)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・煮物 - イオンカクッタラionkakuttaraハンゴンソウ(ナナツバ) Senecio cannabifolius
- 採る時期
- 春(花は7〜9月)
- 使う部分
- 若い茎と葉
- 下ごしらえ
- ゆでて水にさらす
- 使い方
- 油炒め(アサツキと一緒に)
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 山菜の油炒め(ギョウジャニンニク・アサツキとハンゴンソウ・イタドリの若芽)(洗って水を切った山菜を強火で炒め、塩かしょうゆ)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・炒め物 - シウキナ(ポロクトゥ)siwkinaエゾニュウ Angelica ursina
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 茎
- 下ごしらえ
- 皮をむいて生で食べる。苦みの少ないものを選ぶ
- 使い方
- 生食
- 注意
- ヒグマの好物なので、採りに山へ入るときは注意が要ると本に書かれています
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 山菜の生食(エゾニュウ・アマニュウ・ウド・シャク・ヤマブドウの若葉)(皮をむいて、または刻んでそのまま食べる春の山菜)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - チスイェcisuyeアマニュウ Angelica edulis
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 茎
- 下ごしらえ
- 皮をむく
- 保存
- ゆでて干し、冬の保存食にした
- 使い方
- 生食、煮物、和えもの。エゾニュウより苦みが少なく甘い
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 山菜の生食(エゾニュウ・アマニュウ・ウド・シャク・ヤマブドウの若葉)(皮をむいて、または刻んでそのまま食べる春の山菜)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - ピットクpittokオオハナウド Heracleum lanatum
- 採る時期
- 5月下旬。実をつける前の若い茎
- 使う部分
- 若い茎。根はお茶にした
- 下ごしらえ
- そのまま
- 保存
- 茎を割いて(場合によっては湯がいてから割いて)天日か室内で干す
- 使い方
- 生食、ラタㇱケㇷ゚(豆と煮合わせる)。カムイノミやイチャㇻパ(先祖供養)に供える大切な山菜
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 山菜のラタㇱケㇷ゚(ツルボ・ヤブマメ・ヒメザゼンソウ・オオハナウド・ニセウ)(塊根や豆や干した山菜を豆と煮合わせる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・栽培作物図鑑 - アユㇱニayusniタラノキ(タラノメ) Aralia elata
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 新芽。頂芽だけを採り、側芽は残す(側芽まで採ると木が枯れる)
- 下ごしらえ
- アク抜きはいらない
- 使い方
- おひたし、和えもの、近年はてんぷら
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 山菜のおひたし(セリ・アサツキ・クレソン・ニリンソウ・コゴミ・エゾノリュウキンカ・タラノメ)(山菜ごとにゆで時間と水にさらす時間が違う)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - プイ(プイラ)puyエゾノリュウキンカ(ヤチブキ) Caltha fistulosa
- 採る時期
- 春先から初夏に花と茎葉。秋から秋の終わりに根
- 使う部分
- 花・茎・葉。根は放射状でデンプンをふくむ
- 下ごしらえ
- 茎を2分ゆでてから葉を入れて1分。30分水にさらす(えぐいものは一晩)。花がついたままゆでる
- 保存
- 根はゆでて干し、水で戻してすりつぶす
- 使い方
- おひたし、和えもの、根の塩ゆで
- 注意
- 根は1年目に伸びたものだけ採り、古い根は植え戻す作法があります
- 地域
- 北海道の川岸と湿地
この材料の料理 山菜のおひたし(セリ・アサツキ・クレソン・ニリンソウ・コゴミ・エゾノリュウキンカ・タラノメ)(山菜ごとにゆで時間と水にさらす時間が違う)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・おひたし - ペペㇿ(ペペㇽ)peperoユキザサ(アズキナ) Maianthemum japonicum
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 茎と葉。根も使う
- 下ごしらえ
- ゆでる
- 保存
- 根はゆで干しにする
- 使い方
- おひたし、汁、根は煮る・炒める・混ぜご飯・粥
- 地域
- 北海道の各地
- ウラㇱ(フラㇱ)urasチシマザサ(ササノコ・ネマガリタケ) Sasa kurilensis
- 採る時期
- 5月中下旬。長さ5cmほどの若芽。実は数年に一度しかつかない
- 使う部分
- 若芽(ササノコ)。実は雑穀として使った
- 下ごしらえ
- 先を2cm切り落とし、縦に切り込みを入れ、1〜3分ゆでて冷水で冷まし皮をむく。冷蔵で1週間
- 使い方
- 塩煮、粥、混ぜご飯、魚の塩煮の付け合わせ。実は混ぜご飯・粥・粉にして団子。市販の水煮(たけのこ・細竹・ねまがりたけの名で売られている)で代用できる
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 ササノコ粥(ササノコを斜め切りにして粥に)、山菜の混ぜご飯(クレソン・アサツキ・ニリンソウ・セリ・フキ・ゴボウ・ササノコ)(30秒ゆでて刻んだ山菜を混ぜる)、シイタケの塩煮・ササノコの塩煮(きのこと若竹を昆布と煮る)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・下ごしらえの欄 - イシメキナisimekinaオニシモツケ Filipendula camtschatica
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- いちばん上の若葉。根は煎じて下痢止めにした
- 下ごしらえ
- ゆでる
- 使い方
- 塩煮、魚の塩煮の付け合わせ、粥
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 魚の塩煮(マガレイ・カナガシラ・イワシ・スナガレイ・タナゴ・ソイ)(昆布と長ねぎの湯で魚を煮て、野菜の煮物を添える)、野菜の塩煮(オニシモツケ・ヨブスマソウ・イタドリ)(山菜を水で煮て塩、水につけて皮をむく)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・煮物 - ホノイェノイェㇷ゚honoyenoyepエゾタンポポ Taraxacum hondoense
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 若葉
- 下ごしらえ
- ゆでる
- 使い方
- 汁の具。在来種で、セイヨウタンポポに追われて減っている
- 地域
- 北海道
- アンチャミ(アユㇱキナ)ancamiアザミの仲間 Cirsium spp.
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 若葉。葉の幅が広いものがおいしい
- 下ごしらえ
- 湯がく
- 使い方
- 汁の実
- 地域
- 北海道の各地(樺太では薬にも)
- イチャリキナicarikinaシャク(コジャク) Anthriscus sylvestris
- 採る時期
- 夏の花が開く前
- 使う部分
- 茎と葉。根もヤマニンジンと呼び食べる
- 保存
- 漬物
- 使い方
- 生食、焼く、漬物
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 山菜の生食(エゾニュウ・アマニュウ・ウド・シャク・ヤマブドウの若葉)(皮をむいて、または刻んでそのまま食べる春の山菜)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - ウシㇱキナ(チライキナ)ususkinaエゾフユノハナワラビ Botrychium multifidum
- 使う部分
- 葉
- 下ごしらえ
- 刻む
- 使い方
- 煮魚に振りかける、クロユリの球根と炊く
- 地域
- 北海道
- メンピロ(ネンピロ)menpiroノビル Allium macrostemon
- 採る時期
- 春の花が咲く前。晩秋に出る新しい葉も
- 使う部分
- 葉
- 使い方
- オハウ、チタタㇷ゚(たたき)
- 地域
- 北海道の各地
- チマキナ(オパㇵタラ)cimakinaウド Aralia cordata
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 若芽。根は湿布にした
- 下ごしらえ
- 湯がく
- 使い方
- 生食、サラダ風のラタㇱケㇷ゚に果実の代わりに入れる
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 山菜の生食(エゾニュウ・アマニュウ・ウド・シャク・ヤマブドウの若葉)(皮をむいて、または刻んでそのまま食べる春の山菜)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・「アイヌ料理」とは何か - シクトゥッ(スクトゥッ)siktutアサツキ(エゾネギ) Allium schoenoprasum var. foliosum
- 採る時期
- 5〜6月の花が咲く前
- 使う部分
- 葉
- 下ごしらえ
- 熱湯に10秒くぐらせて水で冷ます
- 使い方
- オハウ、おひたし、油炒め(鹿の横隔膜やハンゴンソウと)、混ぜご飯、たたきに散らす薬味
- 地域
- 北海道の各地。昔は河原にたくさんあった
この材料の料理 イワシつみれ汁(骨ごとたたいたイワシの団子を落とした汁)、山菜の混ぜご飯(クレソン・アサツキ・ニリンソウ・セリ・フキ・ゴボウ・ササノコ)(30秒ゆでて刻んだ山菜を混ぜる)、山菜のおひたし(セリ・アサツキ・クレソン・ニリンソウ・コゴミ・エゾノリュウキンカ・タラノメ)(山菜ごとにゆで時間と水にさらす時間が違う)、肉の油炒め(エゾシカの心臓とニリンソウ・クジラとギョウジャニンニク・エゾシカの横隔膜とアサツキ)(強火で肉を炒め、山菜を加えて塩)、山菜の油炒め(ギョウジャニンニク・アサツキとハンゴンソウ・イタドリの若芽)(洗って水を切った山菜を強火で炒め、塩かしょうゆ)、ニシンのチタタㇷ゚(頭・中骨・あご・えらをたたき、ギョウジャニンニクと塩)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・おひたし・炒め物 - カパイkapayムカゴイラクサ Laportea bulbifera
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 若芽。むかごも食べる。茎からは糸を作った
- 下ごしらえ
- ゆでる
- 使い方
- おひたし
- 注意
- 茎と葉のふちに刺毛があり、触れると痛がゆくなります
- 地域
- 北海道の各地
- セリセリ Oenanthe javanica
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 茎と葉
- 下ごしらえ
- 熱湯に10秒、水に30分
- 使い方
- おひたし、混ぜご飯
この材料の料理 山菜の混ぜご飯(クレソン・アサツキ・ニリンソウ・セリ・フキ・ゴボウ・ササノコ)(30秒ゆでて刻んだ山菜を混ぜる)、山菜のおひたし(セリ・アサツキ・クレソン・ニリンソウ・コゴミ・エゾノリュウキンカ・タラノメ)(山菜ごとにゆで時間と水にさらす時間が違う)
出典: 『アイヌのごはん』おひたし・ご飯 - クレソンクレソン Nasturtium officinale
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 茎と葉
- 下ごしらえ
- 1〜2分ゆでて水で冷ます
- 使い方
- おひたし、混ぜご飯
この材料の料理 山菜の混ぜご飯(クレソン・アサツキ・ニリンソウ・セリ・フキ・ゴボウ・ササノコ)(30秒ゆでて刻んだ山菜を混ぜる)、山菜のおひたし(セリ・アサツキ・クレソン・ニリンソウ・コゴミ・エゾノリュウキンカ・タラノメ)(山菜ごとにゆで時間と水にさらす時間が違う)
出典: 『アイヌのごはん』おひたし・ご飯 - ノヤnoyaヨモギ Artemisia indica var. maximowiczii
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 若芽と葉先
- 下ごしらえ
- ゆでる
- 保存
- ゆでて干し、使うとき水で戻す
- 使い方
- 儀式の団子(シト)に入れる。昔は葉を傷薬にもした
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 シト(団子)の考え方(儀式に必ず作る団子。供えもの、客のお土産にも)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - チトゥイレㇷ゚cituyrepガガイモ Metaplexis japonica
- 採る時期
- 春
- 使う部分
- 若芽。根も焼いたり煮たりした
- 使い方
- 若芽と根
- 注意
- たくさん食べると害があり、根も食べ過ぎると中毒すると本に書かれています
- 地域
- 北海道の各地
- カッコㇰムンkatkokmunエゾカンゾウ(エゾゼンテイカ) Hemerocallis dumortieri var. esculenta
- 採る時期
- 初夏。しおれかけた黄色い花
- 使う部分
- 花
- 使い方
- ヤマブドウの若芽と和える、チタタㇷ゚に入れる
- 地域
- 北海道
根と球根(デンプン)
- トゥレㇷ゚turepオオウバユリ Cardiocrinum cordatum var. glehnii
- 採る時期
- 6月中下旬。花をつけない株から採る(採り尽くさないため)
- 使う部分
- 球根(鱗茎)
- 下ごしらえ
- 球根を臼や樽でつき砕き、水を張って上水を捨てる作業をくり返しデンプンを沈める。底の一番粉は薬(腹痛)、上の二番粉は団子にして食べる。残った繊維はフキの葉に包んで発酵させ、干して団子にする(乾きやすいように真ん中に穴をあける)
- 保存
- 干し団子(トゥレㇷ゚アカㇺ)。球根はつないで干す
- 使い方
- デンプン団子を練って丸め粥に入れる、球根の塩煮、焼く(昔は炉の灰に埋めた)。幕別ではマクンベツアイヌ文化伝承保存会が2026年6月6日に採取と加工を行いました
- 注意
- 自分で山に入って掘ることは勧めません。国有林で林産物を採ると法で罰せられ、保安林と道立自然公園の特別地域には別の決まりがあります。人の土地では持ち主の許しが要ります
- 地域
- 北海道の各地。十勝(幕別・帯広)の資料にもある
この材料の料理 トゥレㇷ゚の団子と粥(オオウバユリのデンプンの団子を粥に入れる)、ラタㇱケㇷ゚(和えもの)の考え方(煮て合わせるものと、サラダ風のもの。ポチポチ、チポエㇷ゚とも)、球根と塊茎を焼く・蒸す(エゾエンゴサク・エゾテンナンショウ・オオウバユリ)(デンプンをふくむ根を炉の灰や蒸し器で)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・「アイヌ料理」とは何か、幕別町 チロット事業報告「オオウバユリの採取・加工」(2026年6月6日)、帯広開発建設部『時をこえて十勝の川を旅しよう!』p.121、北海道森林管理局「国有林からのお願い」 - トマtomaエゾエンゴサク Corydalis fumariifolia subsp. azurea
- 採る時期
- 早春(青い花のころ)
- 使う部分
- 根につく小さな塊茎。花をふくむ地上部も
- 下ごしらえ
- 焼く、煮る
- 保存
- ゆでてから干す
- 使い方
- 油をつけて食べる、餅にする。地上部は煮ておひたしや汁の実。デンプンはラタㇱケㇷ゚のつなぎにも
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 球根と塊茎を焼く・蒸す(エゾエンゴサク・エゾテンナンショウ・オオウバユリ)(デンプンをふくむ根を炉の灰や蒸し器で)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・和えもの - シタトマ(セタトマ)sitatomaツルボ Barnardia japonica
- 採る時期
- 5月中旬
- 使う部分
- 塊根
- 下ごしらえ
- ゆでる。生はほろ苦い
- 使い方
- ゆでて食べる、豆と半々に混ぜて炊きラタㇱケㇷ゚にする
- 地域
- 北海道
この材料の料理 山菜のラタㇱケㇷ゚(ツルボ・ヤブマメ・ヒメザゼンソウ・オオハナウド・ニセウ)(塊根や豆や干した山菜を豆と煮合わせる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - アハ(エハ)ahaヤブマメ(ツチマメ) Amphicarpaea bracteata subsp. edgeworthii
- 採る時期
- 秋と春先。地面を掘って地中の豆を採る(地上の豆は小さすぎる)
- 使う部分
- 地中の豆。灰褐色の薄皮はむく人もむかない人もいる
- 下ごしらえ
- 煮る
- 使い方
- そのまま煮る、混ぜご飯、ラタㇱケㇷ゚
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 ヤブマメの混ぜご飯(地中の豆を煮て混ぜる)、山菜のラタㇱケㇷ゚(ツルボ・ヤブマメ・ヒメザゼンソウ・オオハナウド・ニセウ)(塊根や豆や干した山菜を豆と煮合わせる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - シケㇾペキナ(カムイキナ)sikerpekinaヒメザゼンソウ Symplocarpus nipponicus
- 採る時期
- 5月下旬
- 使う部分
- 葉柄を割いて干す
- 下ごしらえ
- ゆでてから日光で干して毒を抜く
- 保存
- 干す
- 使い方
- ゆっくり炊き込んだラタㇱケㇷ゚。カムイノミ、イチャㇻパ、ハルエノミに供える
- 注意
- 生のままでは毒草です。ゆでて干す毒抜きが要ると本に書かれています
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 山菜のラタㇱケㇷ゚(ツルボ・ヤブマメ・ヒメザゼンソウ・オオハナウド・ニセウ)(塊根や豆や干した山菜を豆と煮合わせる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - ラウラウrawrawエゾテンナンショウ(マムシグサ) Arisaema peninsulae
- 採る時期
- 晩秋
- 使う部分
- 球根。毒の部分(茎の近くで黄色く変わった所)を除く
- 下ごしらえ
- 焼く、蒸す。クリとサツマイモを足したような味と言われる
- 使い方
- 焼いた球根、蒸した球根
- 注意
- 早い時期は球根全体に強い毒があり、晩秋に毒が茎の近くに集まって黄色く変わってから、その部分を取り除くと本に書かれています。赤い実にも毒があります。知識のない人が扱う植物ではありません
- 地域
- 北海道
この材料の料理 球根と塊茎を焼く・蒸す(エゾエンゴサク・エゾテンナンショウ・オオウバユリ)(デンプンをふくむ根を炉の灰や蒸し器で)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - アンラコㇽ(ハンタコロ)anrakorクロユリ Fritillaria camschatcensis
- 採る時期
- 秋(6月ごろにできた球根を秋に掘る)
- 使う部分
- 球根
- 下ごしらえ
- ゆでる
- 保存
- 干す
- 使い方
- ご飯に混ぜて炊く、ゆでる、エゾフユノハナワラビと炊く。樺太では干した球根を煮てつぶし、コケモモの実を混ぜた
- 地域
- 北海道・樺太
この材料の料理 クロユリの球根のご飯(秋に掘った球根をご飯と炊く)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - ピスンキッテㇱpisunkittesハマヒルガオ Calystegia soldanella
- 採る時期
- 春先から春
- 使う部分
- 根茎
- 下ごしらえ
- 煮る
- 使い方
- 煮物、混ぜご飯
- 地域
- 海岸の砂地
この材料の料理 球根と塊茎を焼く・蒸す(エゾエンゴサク・エゾテンナンショウ・オオウバユリ)(デンプンをふくむ根を炉の灰や蒸し器で)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - カパトkapatoコウホネ Nuphar japonica
- 採る時期
- 地下茎は夏、種子は秋
- 使う部分
- 地下茎と種子
- 下ごしらえ
- 地下茎はアク抜きして干し、水で戻す
- 保存
- 干す
- 使い方
- 汁、混ぜご飯、粥、種子は和えものやご飯と炊く。昔のラタㇱケㇷ゚の材料のひとつ
- 地域
- 北海道の池や沼
この材料の料理 ラタㇱケㇷ゚(和えもの)の考え方(煮て合わせるものと、サラダ風のもの。ポチポチ、チポエㇷ゚とも)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・「アイヌ料理」とは何か - ニハㇽ(ニアㇽ)niharヤドリギ Viscum album subsp. coloratum
- 使う部分
- 枝(実は味が悪く使わない)
- 下ごしらえ
- 枝を煮てつぶし、黄色いデンプンを取る
- 使い方
- デンプンを料理に
- 地域
- 北海道(ミズナラ・シラカバ・ナナカマドに寄生)
木の実と果実
- ハッ(ハハ)hatヤマブドウ Vitis coignetiae
- 採る時期
- 秋(実は熟すと黒くなる)。若葉とひげづるは春
- 使う部分
- 実。若葉とひげづるは刻んで生食
- 下ごしらえ
- しぼって果汁に
- 保存
- 果実酒
- 使い方
- 生食、果汁を刺身や焼き魚の調味料に、サラダ風のラタㇱケㇷ゚のドレッシング(リンゴのすりおろしと合わせる)
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 サラダ風のラタㇱケㇷ゚(野菜と季節の果実を、リンゴとヤマブドウの果汁で和える)、山菜の生食(エゾニュウ・アマニュウ・ウド・シャク・ヤマブドウの若葉)(皮をむいて、または刻んでそのまま食べる春の山菜)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・和えもの - クッチkutciサルナシ(コクワ) Actinidia arguta
- 採る時期
- 秋
- 使う部分
- 実
- 保存
- 発酵させて飲む
- 使い方
- 生食、発酵飲料、果汁をドレッシングに。キウイフルーツの元祖
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 サラダ風のラタㇱケㇷ゚(野菜と季節の果実を、リンゴとヤマブドウの果汁で和える)、木の実と果実をそのまま食べる(秋の実は生食、クルミは冬にあぶる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・和えもの - フレハッ(レㇷ゚ニハッ)hurehatチョウセンゴミシ Schisandra chinensis
- 採る時期
- 秋(赤い実が房になる)
- 使う部分
- 実。つるも干して薬にした
- 保存
- 干す
- 使い方
- 生食、焼き魚やゆでた根茎の味つけ(酸味)
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 木の実と果実をそのまま食べる(秋の実は生食、クルミは冬にあぶる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - マタタンㇷ゚matatanpuマタタビ Actinidia polygama
- 採る時期
- 秋
- 使う部分
- 実
- 保存
- 保存しない(今は薬用酒にする)
- 使い方
- 子どものおやつの生食
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 木の実と果実をそのまま食べる(秋の実は生食、クルミは冬にあぶる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - チㇽクッチ(シㇽクッチ)cirkutciミヤママタタビ Actinidia kolomikta
- 採る時期
- 晩秋
- 使う部分
- 実(甘ずっぱい)
- 使い方
- 生食
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 木の実と果実をそのまま食べる(秋の実は生食、クルミは冬にあぶる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - マウ(オタロㇷ゚)mawハマナス Rosa rugosa
- 採る時期
- 晩夏から秋の実。花は初夏
- 使う部分
- 実。木はマウニ、花はマウニノンノ。木の部分はお茶にした
- 下ごしらえ
- 半分に割ってから4つに刻む
- 保存
- 干す
- 使い方
- 生食、団子のつけだれ、混ぜご飯(サツマイモと炊いたご飯に混ぜる)、煮物
- 地域
- 北海道の海岸の砂地
この材料の料理 ハマナスの混ぜご飯(サツマイモを炊き込み、ハマナスの実を混ぜる)、サラダ風のラタㇱケㇷ゚(野菜と季節の果実を、リンゴとヤマブドウの果汁で和える)、木の実と果実をそのまま食べる(秋の実は生食、クルミは冬にあぶる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・ご飯 - シケㇾペsikerpeキハダ(の実) Phellodendron amurense
- 採る時期
- 秋。青いうちに束ねて干す
- 使う部分
- 実。内皮も薬にした
- 下ごしらえ
- 干したものを水で戻してゆでる。粒のまま、半つぶし、ペースト、煮汁だけ、と好みで使い分ける
- 保存
- 干す
- 使い方
- ラタㇱケㇷ゚(かぼちゃ・豆・トウモロコシ)の香りづけ。ハッカに苦みを足したような味で好みが分かれ、今は上に散らすだけにすることも多い
- 注意
- 木から自分で採らず、食用として売られているものを使います
- 地域
- 北海道の各地(白老のボツボツには欠かせなかった)
この材料の料理 コサヨ(豆とキハダの実の汁にイナキビの粉を練り込んだ甘い粥)、ラタㇱケㇷ゚(和えもの)の考え方(煮て合わせるものと、サラダ風のもの。ポチポチ、チポエㇷ゚とも)、カボチャのラタㇱケㇷ゚(ボツボツ)(カボチャと豆の混ぜ煮。キハダの実で香りづけ)、シケㇾペ入りのラタㇱケㇷ゚(戻してゆでたキハダの実を最後に加える)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・「アイヌ料理」とは何か、アイヌ民族文化財団「山の幸の料理 平取地方」p.64〜70 - ペカンペpekanpeヒシ Trapa japonica
- 採る時期
- 秋(とげのある殻の実)
- 使う部分
- 種子(半分がデンプン・クリのような味)
- 下ごしらえ
- 実をゆでて皮をむく
- 保存
- 干す
- 使い方
- ご飯に炊き込む、粥、ラタㇱケㇷ゚
- 地域
- 北海道の池や沼
この材料の料理 ヒシのご飯(ヒシの種子を炊き込む)、山菜のラタㇱケㇷ゚(ツルボ・ヤブマメ・ヒメザゼンソウ・オオハナウド・ニセウ)(塊根や豆や干した山菜を豆と煮合わせる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - ペロニセウ/トゥンニニセウpero nisewミズナラとカシワのドングリ(ニセウ) Quercus crispula / Quercus dentata
- 採る時期
- 秋
- 使う部分
- 実。ミズナラは細長く渋みが強く、カシワは渋みが弱い
- 下ごしらえ
- 外皮を取ってゆでる
- 保存
- 干す
- 使い方
- ラタㇱケㇷ゚。白老の博物館の食堂ではニセウうどんが出されていた
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 山菜のラタㇱケㇷ゚(ツルボ・ヤブマメ・ヒメザゼンソウ・オオハナウド・ニセウ)(塊根や豆や干した山菜を豆と煮合わせる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - ネㇱコneskoオニグルミ Juglans mandshurica var. sachalinensis
- 採る時期
- 秋
- 使う部分
- 実。樹皮は染め物に
- 下ごしらえ
- 冬に火であぶって殻を取る
- 保存
- 干して貯える
- 使い方
- そのまま食べる
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 木の実と果実をそのまま食べる(秋の実は生食、クルミは冬にあぶる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - トチtociトチノキ(トチノミ) Aesculus turbinata
- 採る時期
- 秋
- 使う部分
- 種子
- 下ごしらえ
- 渋抜きをして食べる
- 使い方
- アイヌの人々は種子の浸出液で目や傷を洗う薬として主に使ったと本に書かれています
この材料の料理 木の実と果実をそのまま食べる(秋の実は生食、クルミは冬にあぶる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - アナッニanatniハイイヌガヤ Cephalotaxus harringtonia var. nana
- 採る時期
- 10月ごろ赤く熟す
- 使う部分
- 種子
- 使い方
- 生食。木は弓や小刀の柄に
- 地域
- 北海道
この材料の料理 木の実と果実をそのまま食べる(秋の実は生食、クルミは冬にあぶる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - エマウリemawriエンレイソウ(の実) Trillium smallii
- 採る時期
- 黒く熟したころ
- 使う部分
- 実
- 使い方
- 生食
- 地域
- 北海道
この材料の料理 木の実と果実をそのまま食べる(秋の実は生食、クルミは冬にあぶる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - 季節の小さな実クワの実・カリンズ・ハスカップ・コケモモ・キイチゴ・ノブドウ
- 採る時期
- 夏から秋
- 使う部分
- 実
- 使い方
- サラダ風のラタㇱケㇷ゚に、最後に混ぜ込む
この材料の料理 サラダ風のラタㇱケㇷ゚(野菜と季節の果実を、リンゴとヤマブドウの果汁で和える)
出典: 『アイヌのごはん』和えもの・「アイヌ料理」とは何か
きのこ
- カルㇱkarusきのこの総称
- 採る時期
- 秋
- 保存
- 干す
- 使い方
- マイタケ、シイタケ、スギタケの仲間など、いろいろなきのこを汁に入れた。北海道で人気の落葉きのこ(ハナイグチ)は明治後期のカラマツ林のきのこで、昔の北海道にはなかった
- 地域
- 北海道
この材料の料理 きのこの汁(カルㇱ)(秋のいろいろなきのこを汁に入れる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - ケネカㇽシkenekarusムキタケ Sarcomyxa serotina
- 採る時期
- 秋(春にも)
- 使う部分
- 傘だけ(柄を落とす)。虫がいないか調べて除く
- 下ごしらえ
- 皮をむくかどうかは好み
- 使い方
- 汁、煮物、炒め物、ソイの塩煮の付け合わせ
- 注意
- 毒きのこのツキヨタケと混じって生えることがあり、誤食に注意と本に書かれています
- 地域
- 北海道
この材料の料理 魚の塩煮(マガレイ・カナガシラ・イワシ・スナガレイ・タナゴ・ソイ)(昆布と長ねぎの湯で魚を煮て、野菜の煮物を添える)、きのこの汁(カルㇱ)(秋のいろいろなきのこを汁に入れる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑・煮物 - ナラタケ(ボリボリ)ナラタケ Armillaria spp.
- 採る時期
- 秋(早生と晩生がある)
- 使い方
- 汁。味がよく、毒を持つ仲間がない
- 注意
- 消化されにくいので食べ過ぎに注意と本に書かれています
- 地域
- 北海道
この材料の料理 きのこの汁(カルㇱ)(秋のいろいろなきのこを汁に入れる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - ヌメリスギタケモドキ(ヤナギタケ)ヌメリスギタケモドキ Pholiota squarrosoides
- 採る時期
- 秋
- 使い方
- 汁。黄色で傘にささくれがあり見分けやすい
- 地域
- 北海道
この材料の料理 きのこの汁(カルㇱ)(秋のいろいろなきのこを汁に入れる)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - マイタケマイタケ Grifola frondosa
- 採る時期
- 秋
- 使う部分
- 小房に分ける
- 保存
- 干す(平取では干したマイタケで汁を作る)
- 使い方
- 粥、炊き込みご飯、干したきのこと山菜の汁(キナオハウ)
- 地域
- 北海道の各地(平取の資料に干したものの汁)
この材料の料理 キナオハウ(キナルル)(干したマイタケと干した山菜の汁)、マイタケ粥(マイタケとサヤインゲンの粥)、マイタケの炊き込みご飯(マイタケとニンジンの炊き込みご飯)、きのこの汁(カルㇱ)(秋のいろいろなきのこを汁に入れる)
出典: 『アイヌのごはん』お粥・ご飯、アイヌ民族文化財団「川の魚の料理 平取地方」p.84〜90 - シイタケシイタケ Lentinula edodes
- 使う部分
- 石づきと軸を落とす
- 使い方
- 塩煮、魚の塩煮の付け合わせ
この材料の料理 シイタケの塩煮・ササノコの塩煮(きのこと若竹を昆布と煮る)
出典: 『アイヌのごはん』煮物
お茶にする草木
- エント(セタエント)entoナギナタコウジュ Elsholtzia ciliata
- 採る時期
- 秋。花が咲いているときに採る
- 使う部分
- 茎と葉
- 下ごしらえ
- 干して煮出す
- 保存
- 干す
- 使い方
- お茶(エント茶)。昔は茎葉を粥に入れた(平取のエントサヨ)。今はアイヌのお茶としていちばん知られ、商品にもなっている
- 注意
- 野草を自分で採って使うことは勧めません
- 地域
- 北海道の各地(浦河・平取・旭川の資料にもある)
この材料の料理 エントサヨ・エント茶(ナギナタコウジュの粥とお茶)、お茶(エント茶ほか)(葉や樹皮や根を干して煎じた)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑、アイヌ民族文化財団「海の幸の料理 浦河地方」p.68〜71 - プㇱニ(イカヨㇷ゚ニ)pusniホオノキ Magnolia obovata
- 使う部分
- 種子。幹は杓子や小刀のさやに
- 下ごしらえ
- 煎じる
- 使い方
- お茶
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 お茶(エント茶ほか)(葉や樹皮や根を干して煎じた)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - イネハムシヒトリシズカ・フタリシズカ Chloranthus spp.
- 使う部分
- 茎と葉
- 下ごしらえ
- 干す
- 使い方
- お茶
- 地域
- 森の湿った所
この材料の料理 お茶(エント茶ほか)(葉や樹皮や根を干して煎じた)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - そのほかお茶にした草木イソツツジ(葉)・エゾイチゴ(茎葉)・キタコブシ(樹皮と枝)・ハマナス(木部)・オオバセンキュウ(根)・オオハナウド(根)
- 下ごしらえ
- 干して煎じる
- 使い方
- お茶のように飲んだ。多くは薬の効き目を期待したものと本に書かれています
- 注意
- 効き目については書きません
この材料の料理 お茶(エント茶ほか)(葉や樹皮や根を干して煎じた)
出典: 『アイヌのごはん』山菜図鑑 - ゲンノショウコゲンノショウコ Geranium thunbergii
- 使う部分
- 葉
- 下ごしらえ
- 刻む
- 使い方
- ごぼう粥に散らす
この材料の料理 ゴボウ粥(ゴボウとニンジンを一緒に炊く粥)
出典: 『アイヌのごはん』お粥 - オオバコ・アカザ(の種)オオバコ・アカザ Plantago asiatica / Chenopodium album
- 使う部分
- 種
- 使い方
- 昔はごまの代わりに、ごぼうの和えものに使った
この材料の料理 ゴボウのごま和え(ゆでたゴボウを半ずりのごまと砂糖としょうゆで和える)
出典: 『アイヌのごはん』和えもの
畑の作物
- ピヤパpiyapaヒエ Echinochloa esculenta
- 使う部分
- 粒
- 下ごしらえ
- 水の量と炊き方は米と同じ。炊きあがったらエゾシカの脂を加えるとしっとりする
- 使い方
- 粥(サヨ)、ご飯(サタマㇺ)、酒(トノト)の原料。アイヌのいちばん古い作物
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 サヨ(お粥)の基本(米かヒエ1合を水1200mlでゆっくり炊く粥)、サタマㇺ(ご飯)の考え方(米やヒエのご飯に具を合わせる混ぜご飯と炊き込みご飯)、ヒエご飯(ヒエを炊いてエゾシカの脂を加える)、トノト(穀物と麹の酒)(ヒエと麹で仕込み、ざるでこしたにごり酒。神々と先祖への供えもの)
出典: 『アイヌのごはん』栽培作物図鑑・ご飯 - メンクㇽ(シプㇱケㇷ゚)menkurイナキビ(モチキビ) Panicum miliaceum
- 使う部分
- 粒と粉
- 下ごしらえ
- 米やヒエに混ぜて炊く。水の量は米の分量に合わせる
- 使い方
- いなきびご飯(イチャㇻパでよく作る)、団子、もち、コサヨ(平取)。幕別の保存会はポネオハウといなきびご飯を組にしてふるまっています
- 地域
- 北海道の各地。十勝(幕別)
この材料の料理 コサヨ(豆とキハダの実の汁にイナキビの粉を練り込んだ甘い粥)、イナキビご飯(米3合にイナキビ1.5合を混ぜて炊く)、シト(団子)の考え方(儀式に必ず作る団子。供えもの、客のお土産にも)、トノト(穀物と麹の酒)(ヒエと麹で仕込み、ざるでこしたにごり酒。神々と先祖への供えもの)
出典: 『アイヌのごはん』栽培作物図鑑・ご飯、幕別町 チロット事業報告(2026年6月) - ムンチロ(アイヌアマㇺ)muncirアワ Setaria italica
- 使う部分
- 粒
- 使い方
- 団子、ヒエと一緒に炊いてご飯。ヒエの次によく食べた穀物
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 シト(団子)の考え方(儀式に必ず作る団子。供えもの、客のお土産にも)
出典: 『アイヌのごはん』栽培作物図鑑 - キミkimiトウキビ(トウモロコシ) Zea mays
- 使う部分
- 粒。昔はもちきび系のトウキビを干して使った
- 下ごしらえ
- 干した粒を臼で1時間ほどついて外皮をむき、はぜるまで煮る。今は缶詰のスイートコーンで代用する(風味は落ちる)
- 保存
- 干す
- 使い方
- ラタㇱケㇷ゚(豆と煮合わせる)、ヒエと一緒に炊いて粥
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 ラタㇱケㇷ゚(和えもの)の考え方(煮て合わせるものと、サラダ風のもの。ポチポチ、チポエㇷ゚とも)、カボチャのラタㇱケㇷ゚(ボツボツ)(カボチャと豆の混ぜ煮。キハダの実で香りづけ)、トウモロコシの合わせ煮(干したトウモロコシと金時豆を煮て、餅と上新粉で練り上げる)、シケㇾペ入りのラタㇱケㇷ゚(戻してゆでたキハダの実を最後に加える)
出典: 『アイヌのごはん』栽培作物図鑑・和えもの - マメmame豆類(ニコロマメ・金時・トラマメ・大豆・小豆・エンドウ・インゲン)
- 使う部分
- 豆
- 下ごしらえ
- 一晩水につけ、ゆでこぼしてアクを抜く。市販の煮豆で代用できる
- 使い方
- 煮豆、ラタㇱケㇷ゚のいちばん大切な材料、混ぜご飯(エンドウ)。つるのある在来のニコロマメが古くから作られ、のちにインゲンを中心に多くの豆が入ってきた
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 コサヨ(豆とキハダの実の汁にイナキビの粉を練り込んだ甘い粥)、イナキビご飯(米3合にイナキビ1.5合を混ぜて炊く)、エンドウ豆の混ぜご飯(5分ゆでた豆を混ぜる)、ラタㇱケㇷ゚(和えもの)の考え方(煮て合わせるものと、サラダ風のもの。ポチポチ、チポエㇷ゚とも)、カボチャのラタㇱケㇷ゚(ボツボツ)(カボチャと豆の混ぜ煮。キハダの実で香りづけ)、トウモロコシの合わせ煮(干したトウモロコシと金時豆を煮て、餅と上新粉で練り上げる)、シケㇾペ入りのラタㇱケㇷ゚(戻してゆでたキハダの実を最後に加える)、山菜のラタㇱケㇷ゚(ツルボ・ヤブマメ・ヒメザゼンソウ・オオハナウド・ニセウ)(塊根や豆や干した山菜を豆と煮合わせる)
出典: 『アイヌのごはん』栽培作物図鑑・和えもの - カンポチャkanpocaカボチャ Cucurbita spp.
- 採る時期
- 秋
- 使う部分
- 実。干しかぼちゃにもする
- 下ごしらえ
- 皮と種とワタを取ってゆでる
- 保存
- 干す
- 使い方
- ラタㇱケㇷ゚(今の主流。白老ではボツボツと呼び、儀式の定番)、塩煮、団子、オハウの具。作られるようになった歴史は比較的浅い
- 地域
- 北海道の各地
この材料の料理 かぼちゃ団子(ゆでてつぶしたカボチャと片栗粉の団子)、ラタㇱケㇷ゚(和えもの)の考え方(煮て合わせるものと、サラダ風のもの。ポチポチ、チポエㇷ゚とも)、カボチャのラタㇱケㇷ゚(ボツボツ)(カボチャと豆の混ぜ煮。キハダの実で香りづけ)
出典: 『アイヌのごはん』栽培作物図鑑・団子 - エモ(コソイモ)emoジャガイモ Solanum tuberosum
- 採る時期
- 秋。冬に雪の中で凍らせ、春にペネエモにする
- 使う部分
- いも
- 下ごしらえ
- 皮つきでゆでてつぶす
- 保存
- 雪の中に埋めて凍らせ、春に発酵したものを水にさらしてデンプンを取り、団子にして干す(ペネエモ・ポッチェエモ。幕別の講座ではムニニシト)
- 使い方
- すじこのつぶし和え、いも団子、ペネエモ、オハウの具
- 注意
- 芽と緑色になった皮には天然の毒(ソラニン・チャコニン)が多いので除きます
- 地域
- 北海道の各地。十勝(幕別の講座でムニニシト)
この材料の料理 ペネエモ(ポッチェエモ・ムニニシト)(雪の中で凍らせ発酵させたジャガイモの団子)、いも団子(ゆでてつぶしたジャガイモに片栗粉を練り込んで焼く)、チポㇿシト(焼いたいも団子につぶしたイクラをまぶす)、チポㇿウㇱイモ(ジャガイモとすじこのつぶし和え)(ゆでてつぶしたジャガイモに、半煮えにしたすじこを合わせる)
出典: 『アイヌのごはん』栽培作物図鑑・団子、幕別町 チロット事業報告「作って食べよう!夏のアイヌ料理講座」(2026年6月19日)、農林水産省「じゃがいもによる食中毒を予防するために」 - ゴボウゴボウ Arctium lappa
- 使う部分
- 根
- 下ごしらえ
- 包丁の刃を直角に当てて皮をこそげ、切ってから水(古いものは酢水)にさらす
- 使い方
- ごま和え(昔はオオバコやアカザの種)、塩煮、粥、混ぜご飯、汁の具
この材料の料理 チェㇷ゚オハウ(さけ汁)(サケと根菜の塩味の汁)、ニシン汁(切り目を入れたニシンと根菜の汁)、ユㇰオハウ(エゾシカ肉汁)(薄切りの鹿肉と根菜、きのこ、ワラビの汁)、ポネオハウ(豚骨を長く煮た根菜の汁(幕別の講座の品))、コンブ汁(身の薄い昆布と根菜の味噌仕立ての汁)、イワシつみれ汁(骨ごとたたいたイワシの団子を落とした汁)、ギンナンソウ汁(干したギンナンソウの味噌汁)、ゴボウ粥(ゴボウとニンジンを一緒に炊く粥)、山菜の混ぜご飯(クレソン・アサツキ・ニリンソウ・セリ・フキ・ゴボウ・ササノコ)(30秒ゆでて刻んだ山菜を混ぜる)、ゴボウの塩煮(皮をこそげたゴボウを昆布と煮る)、ゴボウのごま和え(ゆでたゴボウを半ずりのごまと砂糖としょうゆで和える)、カㇺラタㇱケㇷ゚(下ゆでした鹿肉と野菜の味噌炒め)
出典: 『アイヌのごはん』和えもの・煮物・お粥 - ササゲササゲ(さやごと) Vigna unguiculata
- 採る時期
- 夏
- 使う部分
- 若いさや
- 下ごしらえ
- 切って水で煮るだけ
- 使い方
- 煮て、小皿の油(魚かエゾシカの脂)につけて食べる
この材料の料理 ササゲの煮物(水で煮たササゲを油につけて食べる)
出典: 『アイヌのごはん』煮物 - 米(シアマㇺ)米 Oryza sativa
- 使う部分
- 粒と粉(上新粉・白玉粉)
- 使い方
- ご飯、粥、団子。米をたっぷり使うのは儀式のときだけで、特別なごちそうでした(白老・札幌の資料)
この材料の料理 サヨ(お粥)の基本(米かヒエ1合を水1200mlでゆっくり炊く粥)、チポㇿサヨ(すじこ粥)(炊きあがった粥にすじこを散らす)、フノリ粥(フノリとギョウジャニンニクの粥)、エゾイガイ粥(湯がいた貝の身を粥に入れる)、アサリ粥(砂出ししたアサリを殻ごと入れる粥)、マイタケ粥(マイタケとサヤインゲンの粥)、ゴボウ粥(ゴボウとニンジンを一緒に炊く粥)、フキとワラビの粥(下ごしらえしたフキとワラビの粥)、ササノコ粥(ササノコを斜め切りにして粥に)、エントサヨ・エント茶(ナギナタコウジュの粥とお茶)、サタマㇺ(ご飯)の考え方(米やヒエのご飯に具を合わせる混ぜご飯と炊き込みご飯)、イナキビご飯(米3合にイナキビ1.5合を混ぜて炊く)、ギョウジャニンニクご飯(干したものは炊き込み、生は混ぜる)、スクスクの炊き込みご飯(シダの胞子で色をつけた炊き込みご飯)、マイタケの炊き込みご飯(マイタケとニンジンの炊き込みご飯)、すじこの混ぜご飯(ばらしたすじこを炊きあがりに混ぜる)、ハマナスの混ぜご飯(サツマイモを炊き込み、ハマナスの実を混ぜる)、ホタテの混ぜご飯(ホタテのゆで汁で炊き、身を混ぜる)、サケの混ぜご飯(焼いてほぐしたサケを混ぜる)、エンドウ豆の混ぜご飯(5分ゆでた豆を混ぜる)、山菜の混ぜご飯(クレソン・アサツキ・ニリンソウ・セリ・フキ・ゴボウ・ササノコ)(30秒ゆでて刻んだ山菜を混ぜる)、ヤブマメの混ぜご飯(地中の豆を煮て混ぜる)、クロユリの球根のご飯(秋に掘った球根をご飯と炊く)、ヒシのご飯(ヒシの種子を炊き込む)、シト(団子)の考え方(儀式に必ず作る団子。供えもの、客のお土産にも)、コンブシト(昆布団子)(粉にした昆布のたれをからめた団子)、トウモロコシの合わせ煮(干したトウモロコシと金時豆を煮て、餅と上新粉で練り上げる)、トノト(穀物と麹の酒)(ヒエと麹で仕込み、ざるでこしたにごり酒。神々と先祖への供えもの)
出典: 『アイヌのごはん』ご飯・団子、農林水産省 北海道農政事務所「アイヌの伝統料理」
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採る前に 法律と土地の決まり、毒の見分け
この辞典は、買える材料で作ることを基本にしています。国有林で林産物を採ると法で罰せられ、保安林では下草の採取が禁じられ、道立自然公園の特別地域では指定の植物の採取に知事の許可が要ります。人の土地では持ち主の許しが要ります。幕別のオオウバユリは、保存会が教育委員会と一緒に参加者を募る形で行っています。
ギョウジャニンニクとイヌサフラン、ニリンソウとトリカブトは、若いうちは見分けがつきにくく、北海道では誤食で亡くなる事故が続いています。食べられると確かに分からない植物は、採らない、食べない、売らない、人にあげない。
ヒメザゼンソウ、エゾテンナンショウ、ガガイモは毒や害のある植物で、本には昔の毒抜きと食べ方が記録されています。この辞典はその記録を書き写しただけで、作ることを勧めるものではありません。薬の効き目についても書きません。
