絵で読む「コンクワ」
原典の日本語の訳をもとに、このサイトの運営者が語り直しました。話の順番と中身は、原典のとおりです。
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1年をとった梟の神
国を見守る梟の神は、すっかり年をとっていました。
昔は、弓を鳴りひびかせるような声で話したものです。いまは、その力もおとろえました。
梟の神は、シントコ(ふたのある入れ物)のふたをたたきながら言いました。
「口が達者で、使いに立つ自信のある者はいないか。天の国へ、長い言づてを届けさせたいのだ」
Kamuichikap Kamui梟の神。題にある語です

2カラスの若者
入口で声がしました。「私のほかに、だれが使いに立てるでしょう」。カラスの若者でした。
梟の神はカラスを家に入れ、シントコのふたをたたきながら、言づてを語りはじめました。
三日がたちました。三つ目の用件を話しながら見ると、カラスは炉ぶちのうしろで居眠りをしています。
梟の神は腹を立て、カラスを羽ごと打ちすえて、殺してしまいました。

3山のカケス
梟の神は、もう一度呼びかけました。
次に入口に立ったのは、山のカケスでした。「私のほかに、天の国へ使いに立てる者がいるでしょうか」
梟の神は、また語りはじめました。四日がたち、四つ目の用件を話しているうちに、カケスも炉ぶちのうしろで居眠りをしていました。
梟の神は腹を立て、カケスも同じように打ちすえて、殺してしまいました。

4川ガラスの若者
三度目の呼びかけに、つつしみ深い様子で入ってきた者がいます。川ガラスの若者でした。美しい姿で、左の座にすわりました。
梟の神は、夜も昼も語りつづけました。川ガラスは、つかれた様子も見せずに聞いています。
昼と夜を数えて、六日目。梟の神が語り終えると、川ガラスはすぐに天窓から飛び出していきました。
katken川ガラス。原典の注に、昔から大そういい鳥として尊ばれる鳥、とあります

5天の国へ
川ガラスは、天の国へのぼっていきました。
届ける相手は、鹿を司る神と、魚を司る神です。
言づての中身は、人間の国で起きていることでした。
Yukkor Kamui / Chepkor Kamui鹿を司る神 / 魚を司る神

6鹿のいない山、魚のいない川
人間の国は飢饉でした。人間たちは、いまにも飢え死にしそうです。
山へ猟に行っても、鹿がいません。川へ漁に行っても、魚がいません。
わけを見ると、天の国で、鹿を司る神と魚を司る神が相談をして、鹿も魚も出さないことにしていたのでした。ほかの神々が何を言っても、知らぬ顔です。
梟の神は、それを見て腹を立てました。だから使いを立てたのです。

7神々の返事
何日もたって、空にかすかな音が聞こえました。川ガラスが帰ってきたのです。前よりも美しく、勇ましい気品をそなえていました。
川ガラスは、二人の神の返事をくわしく伝えました。
人間たちは、鹿をとるとき、木で頭をたたきます。皮をはぐと、頭をそのまま山の木原に捨てていきます。魚をとるときは、腐った木で頭をたたいて殺します。
だから鹿たちは、裸で泣きながら鹿の神のもとへ帰ります。魚たちは、腐れ木をくわえて魚の神のもとへ帰ります。二人の神は怒って、鹿も魚も出さないことにしたのでした。
「これから人間が、鹿も魚もていねいに扱うなら、また出そう」。それが返事でした。

8夢の中で教える
梟の神は、川ガラスをほめたたえました。そして人間の国を見ると、たしかに人間たちは、鹿や魚を粗末に扱っていました。
梟の神は、人間たちが眠っているとき、夢の中で教えました。これからは決して、そんなことをしないように。
人間たちは、悪かったと気がつきました。それからは、魚をとる道具を、イナウ(木を削って作る祭具)のように美しく作りました。鹿をとったときは、頭をきれいに飾ってまつりました。
魚たちは、よろこんで美しいイナウをくわえて、魚の神のもとへ帰ります。鹿たちは、よろこんで身なりを新しく整えて、鹿の神のもとへ帰ります。
二人の神はよろこび、たくさんの魚と、たくさんの鹿を出しました。
inauイナウ。原典の日本語の訳では「幣」「御幣」と書かれています

9梟の神、天へ
人間たちは、もう困ることも、ひもじい思いをすることもなく暮らしています。梟の神は、それを見て安心しました。
「私は年をとり、弱った。天の国へ行こうと思っていた。けれども、私が守っている人間の国が飢饉なのに、かまわずに行くことはできなかった。いまはもう、気がかりは何もない」
梟の神は、いちばん強い若い勇者をあとに置いて、人間の世を守らせることにしました。そして、天の国へ旅立ちました。
と、国を守る翁の神である梟が、物語りました。
Kotankor Kamui国(村)を守る神。原典の最後の行で、梟の神はこう呼ばれています
絵は、この話のために作った切り紙ふうのさし絵です
